パチリ…
ここ、は?
イリア「ごめんね。気づいたかな?手荒な真似してごめんね。君に真実を話して貰う必要があったんだ。君は此方の人間だったようだ。突然接吻なんてしてごめんね?」
あ、そういえば、キス、されたんだっけ?
「いえ、気にしてませんから。」
イリア「でもそれとは別の問題が起きたんだ♪君、いや、ユイは、女の子でしょ♪」
え。やっぱりばれた…かな?
「何故そう思ったんですか?」
イリア「手合わせしたときも、力で勝負せず、自身のスピード、そしてセンス。どれも女性ならでは成せる業だ。素晴らしかった。それに…薬で倒れたこと覚えてるかな?その時、僕が支えたんだけどココが…ね?」
ココ、と言いながら胸を指差すイリアさん。やはりこれじゃ、だめ、だよね。
イリア「まあ、何ってないけどね?秘密にしててあげるよ♪でも此処は男しかいないから気をつけてね。」
「わかりました。ありがとうございますところで、僕がこちら側の人間と言うのは?」
「ああ。実は昔と言っても5年前、ここの優秀な兵がいたんだけど、彼女の名前は、ユイ・ローウェル。彼女はなんでも卒なくこなし、スパイだって、ハッカーだってなんだってできた。我が国のなくてはならない唯一無二の存在だった。だけど、ある時急に消息を絶ってしまったんだ。なぜかはわからない。だが、突然現れた君。ユイと彼女。きみらの指紋が一致したんだ。
そう。ユイが、彼女、ユイ・ローウェルなんじゃないかという話になった。で、実際手合わせしたところ、彼女の太刀筋と同じだった。」
僕はこの世界にいたってこと?
イリア「頭が混乱してるかもしれないけど、君はこの世界に実在していた。ある学者は、こう言った。彼女はパラレルワールドにいたのではないか?と。それなら全ての事柄がすんなりといくんだ。」
パラレルワールド…。
「私…なにも思い出せない。名前しかわからないの。この世界のことも…以前いた世界のことも。」
イリア「それが真実なのはわかってるから、もういいんだよ。これからも僕らの下で働いてくれるね?」
「イエス、マスター。」
あれ?マスター?
今、自然に…。
イリア「体や心は僕のことをしっかり覚えているみたいだね?」
ククッと笑いながらイリアさんは去っていった。