夢、だと思った。



大好きだった彼とキスして。




例えあの子と間違えてだとしても、それでも彼と私がキスしたことは事実だ。







『……私……あや、じゃないよ……?』




私のその言葉に、

彼の焦点の合わない瞳が私をしっかりと見つめていて…



『………もう一回、キス…してもいい…?』




私の言葉に、彼の目は大きく見開いていく。


彼の口が動きそうになり、私はそれをキスで封じた。




『最初にキスしたのは、そっち。
 あの子だと欲求不満?

 私だったらそんなことさせないよ?』


言っている言葉はすごいのに、自分の中では震えた声だった、と記憶している。