「翡翠ってさ、本当に話さねぇよなぁ!」
笑いながら言う掛井は本気で店員さんになれる
大抵の人はここで怒るか
呆れるかの2択である、経験上だけれど。
「…まぁ」
「いやっ、褒めてねぇからなっ!」
いや、褒められた記憶もない。そこまでばかではない。
今自分がどんな顔をしているのかなんてある程度想像はつく。
でも何でこの人は笑ってるんだろうと不思議に思った。
すると突然ぽつり。
「…ずっとさ、気になってたんだ」
そう呟いた。
頭をフル回転させて考える。
何が気になっていたのか…資料室の整理…?
正直あたしは資料室の存在すら知らなかった
やっぱりムードメーカー的な人は違うのか。恐るべし掛井殿。
美化委員ということも知らなかったからそれは致し方ない。
「いや…何て言うか、入学当時からさ
いや、本当はその前からなんだけどな」
え
入学当時からこの資料室があること知ってたの?
掛井殿ってただ者じゃないな、これは
こうやって1人で考えていたから、
あとの言葉は聞き取れなかったことに気づかなかった。
「ほら、目立つだろ?」
え、この資料室って目立つの?
むしろ隠れ家的なところだと思う。
汚いってことは全然掃除してなかったってことなんだろうけど、
それでも目立ってたのか、ここは。
あとで遥花とかに聞こうかな