「送らなくて平気?」
「あ~……すいません。」
「良いよ、ちゃんと送る。」

半笑いな彰人さんはやっぱり大人。
こんな人に、私は好きって言われたんだ。
…………否応なく私の身体は熱くなる。

だって、よく見ればかっこいいし
いや、よく見なくてもかっこいいし……。
何よりも優しくて、趣味も一緒で……。

軽いほうに流れちゃっても、良いかな。
なんて何時の間にか考える自分を引き止める。
アンタには彼氏がいるでしょって。

「……ごめんなさい、押しかけて。」
「平気。もう泣かないこと、負けないこと。」
「はい。」

素直に返事ができる。
素直に笑顔になれる。

本当に、幸せなのに
これ以上望む。
欲張り?

「肩は抱かなくて良いの?」
「いやいやいや!!」

そう、せっかく前に押してくれた貴方。
貴方の言うことなら、信じられる気がした。