「それってルール内じゃない?」
「…………?」
頭がぐるぐるする。
混乱して整理できない。
「ライバルができたら、どうするの?」
「……諦めます。」
「……そっか、意外な答えだったな。」
ちょっと頭を掻くと、彰人さんは私の顔を下から覗いて口を開いた。
「ライバルはね、越すために在るんだよ。自分の夢は人が決めるものじゃない。自分で動かしていくものなんだよ。」
「……夢?」
「越えるために夢があるんだ。」
夢。
夢?
乃と、裕と、皆で
バンドを成功させる事。
楽しくバンドを続ける事。
それだけだったはずなのに。
「越える……。」
「自分のルールに負けるなよ。」