「…………。」
「…………。」

沈黙が流れて一分が経とうとしていたとき、彰人さんが小さく息を吸った音が聞こえた。

「涼香ちゃんは、ルールがあるの?」
「へ?」
「恋愛のルール。」

……ルール?
考えたこともなかった。
だって、そんなの決まってる。

友達の好きな人を好きにならない。
好きになったら少しずつ近付く。
相手を傷付けない。

「……あるんじゃないですか?」
「あって、それは禁止な事だった。」
「……はい。」

それが違うの?
だって、それじゃあおかしい。
どうして乃はこんな事するの?

ルールを破ったしか考えられないじゃない。
それ以外、何があるって言うの?