「何これ?」
「友達に、今の彼氏に渡せって……。」

眉間にしわを寄せる彰人さんの顔が見えない。
もしかしたら私が弱いからじゃんって言われてしまいそうで凄く不安だったから。

「何だよそれ。」
「……あの、私が悪いんです。」
「何かその子にしたの?」
「…………。」

俯いて記憶を戻してみる。
駄目だ、涙が出てきちゃう。
何で上手く行かないんだろう。

そんな自分に嫌気が差してるのに
どうしても逃げようとする自分。

結局進もうとしてないのは自分なのに
もしかしたら他人のせいにしてるの?

でも…………

「涼香ちゃん?」
「友達の好きな子を、好きになったらいけないのに、好きになって、仲良くなって……。その子を傷付けたんです。」
「え?」

俯いたままで、私は話した。
目のやり場に困っていたんだと思う。
だって、直視していたら
涙が零れて呆れられそうで。