「俺、別に奪ったりとかないから……。」
「…………。」
「ひとまず、今日の経緯を?かな……。」
顔を赤くした彰人さん。
大人が顔を赤くしてるなんて、驚きだった。
色気もクソもない中坊に、
こんな人気の在るカッコいい大人が?
夢にしか思えない。
「…………。」
“カサッ。”
ポケットから微かに見えた紙に
私は身体を強張らせてしまう。
でも、彰人さんが隣に座って
そんなことは分からなくなった。
「涼香ちゃん?」
「すいません、お邪魔して!!」
「……ははは、順番が違うね。」
ほころんだ彰人さんの顔に
私は心を開き始めていた。
「これ……。」
差し出した。
彼に伝えたかった。
自分の悩み
自分の苦しさ。
全部知ってほしかった。