「…………へ?」
耳を疑う。
心臓が破裂しそうな私は、
ひとまずテーブルの上のカップを持つ。
「ゴメン。」
「え、いや、別に……。それは……。」
「嫌だよな、こんなおっさん。」
「おっさんなんかじゃ、ないですけど……。えっと、何て言うかその……。」
さっき皮肉にもドキドキしてしまった。
裕がいるのに、他の人に抱き締められて。
良いんだろうか、こんなリアル。
人気のミュージシャンに?
好きって、私が言われたの?
…………いやいやいや。
夢だよね?
作り出した、捏造しました。
どうもすいません。
「…………彼氏、いるんだ。」
「え!?」
いきなり現実に戻される。
同じ体勢、
同じ風景。
…………夢?
「すいません……。」
「いや、謝られても……。」
何というか……気まずい雰囲気だ。