「…………。」

濡れたスカート、鞄
雨は止まないよ。

涙は、止まる事を知らないから。

“カツン。”

「?」

振り向いたら
前に拾ったスティックが落ちていた。
イニシャル“A”のスティック。
雨に濡れて悲しい色をするスティック。
私はそれを急いで拾って
持っていたタオルで包んだ。

“カツン、カツン……。”

硬い靴で
水溜りに足を沈めて
少しずつ私に近付いてくる。

そんな足音が聞こえる。
寂れた公園に響いている。

「……涼香ちゃん?」