“サァァァァ……。”
雨が降っていた。
また、雨が降って、
傘も忘れた私はとぼとぼ歩く。
どうして?
だって私、ちゃんと……。
まさか、バレタの?
「…………っ。」
乃がたまらなく憎い。
どうしてこんなこと……!?
“カサッ。”
ポケットに入れていた紙を出す。
何度見ても悲しい気分になって泣けてくる。
今でも信じられない自分と
こみ上げる涙に怒りを覚える自分。
どっちが勝った方が良いのか、分からない。
“サァァァ……。”
濡れた髪が頬に張り付く。
涙なのか雨なのか分からない雫。
でも好都合なのかもしれない。
「何で……?」