「…………。」
ふと廊下を見たら裕が覗いていた。
目立たないように机の下で手を振ったらニコッと笑って教室に戻っていった。
まだ近づけないけど、いつか……。
そういう夢は、まだ後のこと。
「ねえ、涼香ぁ。」
「えっ……。」
乃が耳打ちをしてくる。
珍しい、こんなこと。
「……裕に、私が書いておいた手紙、渡しといてくんない?もちろん靴箱に入れるんだよ?」
「え?」
「これ。宜しく。」
手にギュッと押し付けられる。
封筒に入った手紙。
封はしてない。
「…………。」
見ちゃって、良いよね?
渡す側だもん……。
ゆっくりと封筒を開く。
ピンク色の便箋。
ラブレター、かな……?
「……ゴクッ。」
喉を鳴らす。
ラブレターだったら裕はどうするんだろう。
OKはしないと思う、多分。
でも……。
“パラッ。”
眼を疑った。
もう一度封筒に戻して、私は走った。
トイレの個室に1人、立てこもる。
「…………え?」