“キーンコーンカーンコーン。”

チャイムが鳴る。
昨日とは違う、世界の見え方。
綺麗に空が広がって見える。

「今日は、嬉しそうだね。」

察したように冷たい眼で乃が睨む。
ばれたら、怖い。

『俺達、付き合わない?……学校の奴等には、内緒にするからさ。駄目かな?』

そういう幸せを、壊されたくない。
だから、言わない。

「ちょっと、欲しかった本が手に入って。今度乃も読んでみる?面白いと思うけど。」
「あたし活字嫌いだから~。」

勝ち誇った笑顔。
乃は他のグループに混ざりに行く。
そういう子だ、あの子は。
独占欲の強い子。

前までは、そうじゃなかった。
短期間で、そうなった。

「…………。」

鞄を持った。
今日は乃と帰らない。
約束の場所へ、あの人を求めて。