「はぁ~……。」
溜め息混じりに伸びをする。
少しだけ濡れた制服。
止んだ後の街は光っていた。
原色のライトがまぶしい。
だんだん公園にバンドが集まる。
素人バンドのたまり場。
ここでは有名なところだ。
「は~い、皆さんこんばんは~。」
5、6人の客に笑顔を振りまくバンド。
気持ち良いほど快活。
気持ちの良い空間。
私の体験していたものだ。
私が好きだったものだ。
「こんばんわ~。」
「ねえ、行こ?」
「俺、ちょっと見たい。」
「アタシは苦手なの!」
「はいはい。」
時を重ねるごとに人数が減る。
世間の目は厳しい。
私達も、そうだったのかな?
…………そうだったとしても良い。
私達は幸せだったから。
考える必要もない。
良い思い出として残せば良い。