「…………。」

“トクン、トクン”

心臓が静かに高鳴っていた。
裕から、目が離せない。

「涼香?」
「あ、うん、何?」

由佳がいなかったら、ああして遠くから君を見ることしか出来なかったかもしれない。
乃の隣にいる裕を、もしかしたら直視できなかったかもしれない。
由佳に、感謝。

“ガラッ。”

「グループ分け始めるよ~。」
「お、やっときた~。」
「悪いね、ちょっと呼び出されちゃって。」
「そうだったんすか。」

部長が来て一気に盛り上がる部室。
この方が、私は好きだな。
ちょっと笑った。
裕は、見てないだろうけど。
私、あの時裕に笑いかけてたつもりなんだよ。