結局結論の出ないまま、私は乃の後姿を見ながら無言で部室に入っていった。ふと視界に入ってきた裕の安心したような顔を見て、私の心は少し落ち着いた。
乃が裕の隣に座ったから、気まずいままの私はのそのそと坂東由佳ちゃんの隣に座った。この子とは、あんまり話したことがないな……。

「涼香ちゃん?」
「……あ、なに?」
「結局裕と話してるからウチとあんまり話したことないよね?正直ちょっと寂しかったんだけどさ、何だか明るくなったし、今なら話しかけやすいかなって。」
「あ、そっか。ごめんね。」
「ううん。今日一番話せてるし、1対1だし、嬉しいよ。バンド、また一緒になれると良いね!親友で居たいし、涼香ちゃん才能あるし。」
「そんな事ないよっ。あ、涼香で良いよ。私も、由佳って呼んで良い?可愛い名前だからそう呼びたいな。」

気楽に、話そう。
さっきの事は忘れなきゃ……。