「お、裕。」
「っ…………!?」
汗がどっと出る。
何だかドキドキする瞬間。
っていうか、声が出ない。
『会えてよかったよ。』
顔から火が出そうだった。
「涼香ぁ?」
「は、はひっ!?」
「はは、どうした~。」
乃がけらけらと笑う。
は、恥ずかしい……。
裕の目をそっと見つめた。
遠くて、あの香水の香りはしない。
「…………。」
「お、涼香いたんじゃん。よっす。」
「よよよよよ、よす!!」
ああ、スッごく馬鹿っぽい!!
「はは、変なの。」
「そんな事……。」
自分のギターのチャックをいじる。
何だか、変なところ見せちゃったし。
やだな…………。
私は俯いて、固まっていた。
「あの~。」
「ん?何、どうした乃?」
「ミーティングってまだですかぁ?」
「あと十分ぐらいじゃない?」
「ちょっと涼香と外出てきますね。」
「へ、私!?」
「いってらっしゃ~い。」
乃、貴女が何を考えているか知ったのは、まだまだずっと先の話。ずっと、ずっと。