“チリン。”

綺麗な風鈴の音が聞こえる。
季節外れの、秋の風鈴。
いや、もう冬に近い10月下旬。
ひんやりとした風が頬に触れる。

「…………。」

裕からのメールを待つ間に、歌詞を書くことにした。SAKIも、自分で曲を書いてるし。

「う~ん……。」

書きかけの歌詞とのにらみ合い。
そもそも、経験の浅い私に恋の歌詞なんて。

恋か…………。
恋以外に、何がある?

青春?
これは難問。
夢?
語れる身分じゃないし。
いったい、何なら良いんだろう?

「あ、そうだ。」

携帯を出してメール作成ボタンを押した。
送信相手は、裕。
来ないなら、送ればよかったんだ。
なんて馬鹿な私。
歌詞って、どういうジャンルがあるのかな?
そう、軽めに聞けば良い。
そして、今日は有り難うって。

それで、君へのラブレターになる。

そんな気がした。