「ファンの子にさ、聞かれたんだよね」
「え?」

2人での登下校。
こうするのも、乃に勘違いされないように。
怯えて過ごす日々には、もう慣れていた。

「あの子、何なのって」
「ごめんなさい、私お仕事の……」
「仕事って言っても趣味だから。好きな子が辛い気持ち抱いてるときにほっておくほうが大馬鹿者だと思うけどね」

サラッとそんなことをいう彼に驚く。
そして、ドキドキしてしまう。
不覚だと分かるのに、止まらない。