やだ・・・なんで?


なんで・・・思い出しちゃうの?


ガシ


「那未!」


「・・・離して!」


振り解こうとしても 無理だった


自分でも 震えているのが


わかっていた


「落ち着けよ!」


「・・・嫌!」


グイ


ぎゅ


そのまま抱き締められた


「大丈夫だから・・・な?」


「・・・はな・・・して」


「今は・・・無理」


そう言いながら 陽也君は


私の背中を軽くさすっていた


「・・・ごめんなさい


私 取り乱しちゃって」


「いや・・・いいけど


少しは落ち着いたか?」


陽也君は 私の肩を


そっと押す


でも・・・泣いている顔を


見られたくなくて


俯いてしまった


「・・・那未?」


すると 今度は私の頬に


掌が触れる


ドキン


「あの時の事・・・思い出しちゃうの」


「・・・」


忘れたくても 簡単に


忘れる事が出来ない