私は顔を横に振る


もし・・・言ったら


心配するよね?


大丈夫・・・


何度も自分にそう


言い聞かせた


『お前は俺から逃げられない』


ドクン


やだ・・・まただ


ストン


身体の力が抜けて


その場に座ってしまう


「おい・・・那未?


本当に大丈夫か?」


全身が震えているのが


わかった


「・・・い


こわ・・・い」


ぎゅ


陽也君に抱き締められた


「大丈夫だから・・・」


そう言いながら


私の震えが止まるまで


抱き締めてくれた


しばらくすると 震えも


落ち着いてきて


私は 陽也君を押した


「・・・」


「何か・・・あったのか?」


陽也君は 心配そうな顔をして


私を見た


また顔を横に振った