・・・1週間後


那未は 退院したが


精神的なショックから


声が出なくなっていた


「・・・」


当たり前だけど 何も話さない


まあ 仕方ないよな


すると 那未は鞄から


メモ帳とペンを出して


何かを書いていた


ペンを持つ手が少しだけ


震えていた


俺は その手を握る


「大丈夫だから・・・


ゆっくりでいいからな?」


「・・・」


那未は 小さく頷いた


そして 少しずつペンを持つ


右手を動かした


メモ帳を俺に見せる


【陽也君 ごめんね】


そう 書いてあった


「・・・謝らなくていいから


きっと 声もその内出るよ


無理しないでゆっくりでいいって


里佳も言ってただろ?」


「・・・」


那未は また小さく頷く


きっと 声が出なくなったのは


自分のせいだって


思ってるんだよな?