「菜美!!」

ビクッ。

聞き慣れた女の声。

でもそれはクラスメイトなどではなく。

「……なんで…」

「売り子してたんだ!どうりで探してもいないはずだわぁ~」

どうしようどうしよう。

呼吸が少し荒くなる。心臓が激しく波打つ。

「お母さん…」

「菜美たら家の鍵忘れてるんだもん!届けにきてあげたんだから感謝しなさいよ~?」

周りからお母さん優しいとか、面白いとかそんな声が聞こえる気もするがそれどころじゃない

家の鍵なんか今も私のスカートのポケットに入ってる。

この人はここまでするの。

「奄上…」

隣にいる優の声で現実に戻される。

「奄上お前大丈…」

「あれ…?あなたもしかして河心君!?」

ハッとして前を見ると母は優を見てた。

やばい。