「“好き”……って、まさか、あのジジイの“ふざけた性格が”か?!」



え!?



まさか霧島くん、私が言った好きの意味を履き違えてる?!!



「えっと、あの、それはー……………、は、はい。嫌いではない…ですね……。」


と、咄嗟に話を合わせてしまった私。



あぁ~!!私の馬鹿ッ!!



どうして素直に、“霧島くんのことが”って言えないのよ!


「マジかよ…。咲希が変態ジジイ色に染まっちまうのは我慢ならねぇな…。どうにかしねぇと。」


と、霧島くんが何やら真剣に悩み始めてしまった。



ごめんなさい、霧島くん…。


悩みの種を増やしてしまって……。



って、そういうことじゃなくって、とにかく何か話題を変えなくちゃ!


「そういえばここのレストランに着いてから思っていたことがあったんだけど、霧島くんって前にここへ来たことってあるの?」


「え?来たことあるって、なんで?」


「えっと、ここの入口って他の所と比べて造りがちょっと変わってるじゃない?だから普通なら迷いそうなのに、霧島くんは道を一本も間違えないで着いたでしょ?だから前に誰かと来たことがあるのかな?って。」


と、ふと疑問に思っていたことを霧島くんに何気なく質問してみた。




すると彼から思いもよらない言葉が!



「あぁー……。まあ、ちゃんと調べてきたからな。この施設自体をその……、ネットとかで。」


「そうなんだ、ネットで…………。え?!!調べたの?!!わざわざ!!?霧島くんがっ!!??」



あまりにも意外な答えだったので、かなり失礼極まりない反応をしてしまった私!



だって、“プールは興味ない”って口外してた人がネットでリサーチしてきたなんて驚きだよ!!


きっと今の私は鳩が豆鉄砲を食ったようななんとも情けない表情をしているに違いなかった…。



対する霧島くんは私の反応を見るなり急にそっぽを向いてしまい、顔がほんのり赤くなってしまった!



???



どうしたんだろう?


急に態度がなんだか……?




……あ!!



ももももしかしていま私、霧島くんを辱める言葉を言ってしまったんじゃ!??



そう勝手に解釈をすると、背筋が一気に凍りつくような感覚に襲われるのと同時に身体が勝手に動いて私は霧島くんに勢いよく頭を下げる!