「…なんで俯いてんの?咲希が見るのはコッチだし。」



ひえぇぇぇ!!


急に霧島くんに顎をクイッと掬(すく)われると、彼の綺麗すぎるお顔が視界いっぱいに広がる…!!



「あ、あの、どどどどうしたの!!?」


「なにが?」


「え!!?えーー……っと、ですね!?かか顔を、急に近づけてくるから!その…」


「離してほしい?」


「えっ!!!い、いえ!!そんなことはっ……!」



言葉を濁したけど少し図星だった私。



だって急に距離が近づいたから緊張しちゃって!!


それになんだかこれ以上霧島くんを見続けていたら、私がのぼせちゃいそうで…!!



それほど彼の色気は今の私にとって強烈なものだったのだ。



とりあえず日曜日のプールはキャンセルして再度計画を練るためにここは速やかに立ち去らないと!



……よし。



「あの、霧島くん!私この後バイトがあるので今日は帰るね?だから離してもらえると…」


「やだ。」



!!?



なんで!!!




「でも、バイトに遅れちゃうから…」


「せっかく咲希が会いに来てくれたのに、そう易々(やすやす)と離したくねぇし、俺。」



うっ…。


そんな嬉しくなることを今は言わないで~~!!



そう心の中でツッコミをいれていると。



「……そんなに帰りたいなら1分間黙ってて。」


「………へ??」


きょとんとする私に対して、霧島くんはなぜか妖艶さを増している!



そして。



「咲希。口開けて?」


「――ッ!」



ま、ま、まさか!!



黙る理由って、



キス!!??



「きき霧島くっ!ちょっと待っ」


「待たない。する。」



やっぱりぃぃーーー!!!




「きりし…」


「黙って。したい。」



!!!!



思わず息を飲む私!



彼の形のいい唇がすぐそこまで迫ってきていたっっ!!!