ど、どうしよう?なんだか入りづらいな。



私は手にしていたチケットをもう一度チラリと見る。



あ、あんな大勢の前で誘うのは少し…じゃなくて、かなり勇気がいるかも……!


そう悩んでいる合間にも准平くん一行はやいのやいのと騒いでいる!


「で、でも、ここまで来て引き下がるのは…。それに、せっかくデートする口実がちーちゃん達のおかげで、でででできたわけだしっ!!」


そうだよ、こんなところで諦めるわけにはいかない!!





…………よしっ!





意を決して私は一歩踏み出す!



でも屋内から外へと出ようとしたその瞬間だった!!



「だ~か~ら~!!7組全員でさ、 “アクアランド” 行こうってば!!」





…………え???




い、今、准平くんなんて!??


准平くんの口からこぼれた言葉を耳にして、前に出た足がピタリと動かなくなるっ!!



もしかして……


アクアランドって言った………?!


「なぁ~ってば!理人さ~ん!!アクアランド行きたいぃぃ!!!」



や、やっぱり!アクアランドって言った!!!



准平くんが霧島くんに何度も “アクアランド”の言葉を浴びせている。


そしてそれに輪をかけるように、周りにいた人達も一斉に霧島くんにアクアランド行きのお誘いをしている!


特に女の子の方がどちらかというと必死だ。



ど…どうしよう?!


目的地がみんなと被っちゃったよ!!




しかも!



話の内容を伺っていると、日程は今週の日曜日らしい!!!



私の方が一足(ひとあし)遅かった……。


こ、困ったな。



とにかくどう転んでも、霧島くんの反応がとても気になった私は扉の影からその様子を見守ることにした。


「理人!行こうよ!!夏休み入る前にクラスの親睦を深めるためにもさ!!」


「あとは参加者、霧島くんだけなの。ね?だからお願い!」


「理人さん…、俺らも理人さんと一緒に行けたらと思うんスけど、ダメっすか?」


するとクラスメイト達の熱意が伝わったのか、霧島くんが漸く体を起こして欠伸をひとつすると、


准平くん含め、全体を見回す。



霧島くん、いったい何て返事するんだろう……?



なぜか部外者の私が固唾をのんで霧島くんの言葉を待っていた!




そして。