そしてその30分後―――



二人に背中を押された私は現在、こうしてアクアランドのチケットを片手に屋上への階段を上がっていたのだった……。




まさかこんなことになるなんて夢にも思わなかった私!





心臓がまだバクバクしてるよ~~~!!!



まさか私が霧島くんを、デートに誘う日がこんなにも早く来てしまうとは……!!



確かに、確かに霧島くんとはデートしたい!



デートはしたい!




けども……




急に“プール”ってどうなんだろうっ!!?


だって友達(女の子同士)と彼氏さん(男の子)じゃ、わけが違うよ!!




霧島くんに……その……、



ばっちり見られちゃうってこと…だよね?



この体型を…。



そう思い、制服越しだけど自分の体を改めて見てみる…。


「……はぁ~。貧相だよ。」


そう愚痴をこぼしてしまった。


そんな不安を抱えながら階段を上がっていると、屋上に通ずる扉はもう目の前に迫ってきていたっ!




こ、この扉の向こうに、



きききき霧島くんがっ!!!




この時間、彼が屋上にいることは間違いない。


さっき霧島くんに会いに、彼のクラスへ顔を出したとき、


『理人さんならさっき“バイトまでちと時間があるから、10分昼寝してから行くか”……って言ってましたよ?咲希さん。』


と霧島くんのクラスメイト兼不良のお仲間さんにそう教えてもらった。



だから“お昼寝”と聞いてすぐにその場所が屋上だと確信した。


だってこの場所は彼にとって特別な場所だから…。



普段は鍵が閉まっていて決して入れないんだけど、


なぜか霧島くんと霧島くんの友人のヤスさんだけはここの開け方を知っている。



そして二人とも、女子のオッカケを撒くのにここを避難所に使ってたり、授業をサボる時にも使われているらしい……。



「えっと、確か開け方は……と。」


私は髪止めのピンを二本取り出すと、鍵穴に二本合わせてそれを差し込んだ!



「…で、そのまま左に回すんだっけ??」


馴れない手つきで左に恐る恐る回してみると……。



カチャッ!



あ、開いた!!