「図書室には、今日は行かないの?」
「今日は、返す本ないし。」
「そっか。」

頭に君の手が乗って、アタシは驚きつつも圭吾の行動を素直に受けた。
少しずつ、心が圭吾に向いていったから。

“ガラガラッ。”

「おはよ~、遥。」
「おはよう、紗江。」
「よお宮下!」
「うぃ~す。」

今はこのぐらいで良い。
離れたら恋しくなる程度で。
まだ始まったばかりだから
何も知らないのは当たり前だし。
いつだって前に進める。
だから、急がないんだよ。
認められるまで。
心通じ合えるまで。
君に、本当に恋をするまで。