「アタシ、部活辞めようかな……。」
『え、マジで?卓球部?』
「うん。」

震える口元をハンドタオルでそっと押さえた。

「怖いんだ、宗助に会うの。」
『村山に、何か言われるの?遥アイツの隣の席だし、辛いよな?俺が先公に……。』
「違うの、そういう事、あの人言えない人だから。ただ、アタシの気持ちの問題。顔、合わせ辛いんだよね。一緒のグループに居るのに、そこだけは違う世界なんだ……。はは、変だよね、そういうの。」
『そんな事言うなよ……。』

裏切り、か……。
いつまでこうして引きずる事になるんだろう。
確かに早く、席替えはしたい。
だって、隣が宗助なんて気まずすぎる。
どうにかしたい、でも嫌いなわけじゃない。
ハッキリしない自分に腹が立ってきた。

「ねえ、圭吾は良いって言ったけど、アタシはどうしてもハッキリ出来ないよ……。圭吾を利用してる気がして。だって、宗助がダメなら圭吾って、それじゃあ都合よすぎないかな……?圭吾の事想ってる子だって多分いるよ?それなのに、卑怯っていうか……。」
『そんな事心配してるの?』
「これじゃあ裏切ってるのと一緒だし……。」
『俺、遥になら利用されても良いよ?嬉しいから、そういうの。頼られてるって俺は捉えるよ。それは遥が悪いわけじゃないし、むしろ俺が望んでる。ダメかな、それじゃ。』

いつもチャラチャラして、授業でもふざけて。
こんなタイプが大嫌いだった。
なのに、どうして今はこんなに頼れるんだろう。
凄く、大切だよ…………?

「……ううん。いい。それで。」
『よかった。』

君の笑ってる顔が見えた気がした。