『谷口、気にすんなよ?俺が付いてるじゃんっ!?誰かになんか言われたって言い返してやるからさ?』
そういった宮下の言葉を信じて。
「……宮下。」
「ん?何?」
「手は、離そ?ハズ過ぎるし。」
「あ、そう?」
宮下は最初軽く触れるだけだったのに、今では許可もなく手を繋いでくる。最初は驚いてかなりドキドキしてたけど、もういっかって感じで。
「じゃあ、アタシちょっと図書室行きたいから。先教室行っててね。ちょっと遅くなるかもだしっ。」
「誰かと待ち合わせなら行かせたくない。」
「違うよ、大丈夫。」
宮下は、少し嫉妬をすることが分かった。
高橋と話してるのも、嫌だって。
だけど説得して分かってもらえた。
「じゃあね。」
「うん。」
“バタバタバタバタ。”
職員室、事務室、理科室、階段
そしてやっと図書室。
体育館前のここは、いつも静か。
人も、三日に一回ぐらいしか来ない。
だから皆ここでデートしたり悪い事したり。
まぁ、アタシがそうなわけじゃないけど。
「……失礼しまーす。」
必要ないけど挨拶するのは、人が居たら引き返そうって思ったから。だって、さっき言ったみたいなことされてたら困るし……。
「誰?」
“パタパタ。”
足音が近付いて来るのが分かった。
聞き覚えのある、あの声と共に。