「ねえ、何処行くの?」
「ん~?スタジオ?」
「え、入れるの?」
「任せろって!!」
“キキッ。”
自転車の揺れで怖くなってアタシは思い切り、馬鹿みたいに宮下にしがみついていた。
「わぁ、積極的だね~。」
「そ、そういうのじゃないし!!宮下がへんな運転ばっかするから怖かったの!!」
「可愛い~。」
そう言いながら二人で自転車を降りる。
四角くて真っ白な建物の前で。
そんな言葉、宗助だって、かけてくれなかったよ。
違う恋を、しても、良いのかな……?
そう思いながら、そっと宮下の袖を掴んだ。
そしたら宮下は歩幅をあわせてくれたんだ。
それが、何より嬉しくて。