「つか、分かんない。何これ。」

高橋がボソッと呟く。

「ねえ、分かる?これ。」
「え?アタシ?」

いきなり聞いてこられてビックリした。
何で、アタシに聞くの?
アタシさっきの仲間に入ってなかったし!

「……なんでアタシ?」
「頭良いじゃん。嫌味なほど。」
「は?」
「この前のテスト、7位だったの見たよ。」

悪戯に笑う高橋の顔は幼稚園生みたいに幼く見えた。
でも、それがちょっとムカついた。
なんでこんな奴がモテるんだろう。

「……どれ?」
「この、社会のやつ。」
「一年の復習ぐらい出来るようにしなさいよ。」

世界史。中一で全部習った。

「だって俺等の学校カリキュラムが他と違うから勉強しにくいじゃん。順番バラバラだし。どう勉強してんだよ?」
「授業聞いてるの。高橋と違って。」

嫌味返し。
でも、今さらこんな復習しても遅い。
三年になったら補習が始まる。
落第危険者が集められた補習。
絶対仲間に入るかって、アタシ達は焦ってるんだ。
でもこの中じゃ、宗助が一番要注意人物。

「……俺さ、知ってるよ?」
「え?」

これも始まり?