雑誌を一通り読み終わって暇なアタシ。
何してよっかな……?
つか宮下遅くない?

「…………まだかなぁ。」

背伸びなんて必要ない高さなのにしてしまうその行動は、宮下のことが気になってるからなのかな?
よく、分からないよ、自分でも。

“♪♪♪”

また着信。
宮下だった。

“ピッ。”

“もっしも~し。俺!!”
「遅い、何処にいるの?」
“悪い、今な、家帰って自転車持ってきたから!!何処にでも行けるよ~?”
「は、意味わかんないし!!」
“怒るなって!あ、見つけた!!”

窓の外を見ると、手を振りながら自転車をこぐ宮下が見えた。何だかチャラそうな雰囲気……。
やっぱり宗助とは、違う。
って、何考えてんのアタシ!!
宗助とはもう別れたんじゃん!!

頭をコツンと叩いて入り口に向う。

“チロリン。”

「谷口~。」
「何で自転車なんか持ってきたの~?」
「ははは、良くぞ聞いてくれた!!」

頭をポンポンと撫でると、宮下はアタシの手を握って外に出させた。
ムワッとした空気と手の温かみ、熱くなる体中でサウナみたいに息苦しかった。

「楽しくなれるところ、教えてやるよ!」
「でもさ、中坊だし絡まれない?」
「平気だよ、俺が守るし。」

サラッと君が言った事に、
アタシはとてもドキドキしていた。
不思議なほど、ドキドキ、ドキドキ。
感じたことのない、心。