「…………!」

宗助だった。近所じゃないのに、何で?
雑誌を置いてドアに近づく。
何で、アタシ避けてるんだろう……。
距離、置くんだったんだし、罪悪感なんか!

「そ、宗助!!」

このままじゃ、いけないんだよ。
もやもやより、スッキリしたい。

「……遥?!」
「ゴメン、ちょっと、1分で良いから。」
「何?」

手に汗をかく。
口から空気ばっかが出る。
言わなきゃ!!

「アタシ達さ……別れよう??」
「へ……、何で?」
「えっと、このままじゃ、嫌なの。」
「そっか……。」

ポリポリと宗助は頭を掻いた。

「良いよ。」
「え?」
「今まで有り難う。」
「あ……、うん。」

意外と軽い返事。
驚いて小さな声しか出ない。

「じゃあ。俺暇だっただけだし。」
「うん。」

“チロリン。”

「有難うございました~。」

店員さんの声が、遠くから聞こえてくるようだった。あっけないラストに、拍子抜け。
終わるって、こんなもんなんだ……。
それとも、宗助だから?

いや、もう、別れたんだし。
踏ん切りはついたんだし。忘れよう!!

そのときは、軽い気持ちだった。
でも、アタシは気付く事になる。
その、傷の深さに。