「…………。」
五本程度花火をやったら、結構皆飽きてきたみたいで、黙り込んでしまっていた。気まずいと思いつつも、アタシは宮下のあの花火の事ばかりを考えていた。
“パチパチパチ……。”
綺麗な火が考え事をしてるだけでぼやけて見えるのが不思議だなぁ……。
あ、これも考え事だ。
「…………谷口。」
「ん?」
小声で話しかけてきたのは宮下で、少し驚いたけどそれを抑えながら小声で返した。
「抜けね?」
「え、あ……。」
鞄に入った花火のカスをチラッと見る。
「い、良いよ。」
まだハッキリしていない宗助との関係に少し罪悪感はあったけど、素直にアタシは宮下の言う事を聞くことにした。
宮下の作戦としては、先にアタシが帰るフリをして近くのコンビニに行って、それで10分ぐらい経った後に宮下も解散を持ちかける。で、コンビニで合流。らしい……。
でもそれって抜けるって言うのかな?まあ、いっか。
「…………皆ッ。」
「ん~?なぁに?」
「アタシ親に内緒で来ちゃったからさ、バレたらヤバイしもう帰るね?」
「え~、そうなの~?じゃあ、バイバイ……。女一人かよぉ~。」
「ゴメンッ、でももう帰るねっ。」
「う~ん。」
「ばいばい。」
「じゃあな谷口~。」
ニコニコしながらこっちに手を振ってくる宮下に、アタシは少し笑ってしまったのを覚えてる。