「お待たせ!」
息を切らして近くのベンチに座り込む。
隣にストンと座ってくる宮下。
アタシは不覚にもドキッとしてしまった。
「み、皆は?」
「ジュース買いに行った。」
「そぉ……。」
変な汗が出た。
目が回る。
どうしたんだろう、アタシ。
「花火さ、俺2年ぶりなんだよね~。今年の夏やろうと思ったけど結局やめちゃったし。」
「へ?何で?」
「……彼女と俺、別れたじゃん?」
聞いた後で不味いと思った。けど宮下はニカッと笑ってアタシの頭を撫でながら言った。
相手は、マユだ。マユはミズキと一緒のグループで、勉強も出来てスポーツ万能、性格も多分クラスで一番良い子。完璧な女の子、目指すべき女の子。
アタシは、その子にコンプレックスを感じていたのも確かだった。
「ああ……そうだよね。」
「まあ、暗い話は置いといて!一緒に今日は花火やるんだからさ!」
「うん。」
宮下の優しさに気付いた。
聞いたことはあった。女たらしだけど思うときは一途で、優しい。絶対に諦めない気持ちに皆惹かれて付き合ってる。って。
今さら、避けようとしてた自分に恥ずかしくなった。
「服、可愛いね。」
「あ、ありがと……。」
胸の痛みと、温かさ。
そんなのが混じって、変な気分だった。