「…………。」

無言で体育館に入るなんて初めてだった。

「お、谷口。お前最近サボりすぎだぞ……。」

皆、驚いていた。
アタシが、元気ないから。

「……先輩?」
「どうした、お前。」

涙の跡はなくたって。
傷が見えないからって。
君の存在はアタシには大きすぎて。

“カランカラン。”

「おい、誰か保険医呼んで来い、保険医!」

アタシの体中が震えてた。
ラケットだって落として、ネットを倒して。
迷惑掛けてばっかりだった。

「…………っ!」

それから、アタシの前は暗くなった。