「……何、これ?」
「ストラップ。」
「……何で?」
意味が分からない。
いきなりこんな事をするなんて。
「でもっ……。」
「邪魔だから?」
「…………へ?」
拍子抜け。
ニコニコと笑う高橋の顔を驚きの目で見る。
「男がそんなもん持ってられっかよ。」
「……はぁ。」
「んなわけで、宜しくな。」
「……うん。」
高橋はアタシを置いて行ってしまった。
アタシはずっしりと重くなった紙袋を手に、何を考えていたんだっけ。
複雑な、何か。
あの王冠は、何処にしまってしまったっけ。
「…………。」
ただあれからの記憶は途切れ途切れだった。
宗助の靴箱に王冠を入れて
アタシは紗江と一緒に帰って報告して
紗江が褒めてくれて。
その日は抜け殻になってしまったように
思考回路が上手く繋がらなかった。