「何?辞めるの?」
「すいません。」
「キャプテンになれなそうだからなら辞めさせない。それなりの理由があるんだろ?」
「…………まあ。」

宗助はアタシを置いて二人で部室へ行ってしまった。
追いかけたけど部室は鍵が掛かっていた。
聞くだけでもと思ったけど、音が響かなくて。
やっぱりアタシ、だめだね。

「……辞める事に、なった。」
「……うん。」
「ごめん。」
「はは、何で、謝るの……。」

涙が零れそうになったから、また逃げた。
アイツから、現実から。
アイツに近づきたくて、部活に入った。
アイツに自分を見てほしくて、頑張った。
なのに、アイツは最後の絆を置いていく。
アタシと、言わないけど離れたかったの?
ねえ、答えてくれても良いじゃん。
馬鹿…………。

「…………。」

ボーっと立ってる。
更衣室の視線なんてもうどうでもいい。
空っぽだった。
アイツがいないと、涙も流せない。
何だ、ダメなのはアタシじゃん。
アイツは、自分の意思でやったのに。
アタシのほうが、もっと馬鹿。