「……ねえ、どうしたの?」

帰り道。アタシと同じ方向だった友香はまだ浮かない顔をしていた。
高橋も一緒なのに、どうしてこんなに友香が暗いのか分からなかった。

「え?何?」
「帰ってきてからずっと暗いよ?友達と、何かあった……?」
「え、別に何でも……。」

そんな友香、見たことが無かった。
アタシと目を合わせずに、話す友香は、いつもとずいぶん違ってたから―――――。

「……分かっちゃうよ、そんな友香じゃ、嘘吐いてるって。」
「なあ、素直になってみなよ?コイツがこういうの珍しくない?」
「…………。」

あの時の友香は、ひどく青ざめていた。
だからね、不安だったんだ。
この胸を騒がすざわめきに。

「……れた。」
「え?」
「告られた……。」

悲しい目で外を見てしまう友香。
電車の中から見える夕日に、友香の目尻が光ってた。

「……宗助に、告られた。」

高橋は、どんな目でアタシを見ていたんだろう。
アタシ達、どんな顔をして次に会うんだろう?
何も、アタシには分からなかったよ―――――?

「え――……?」

目の前が、霞んで見えた。