「…………この前の事なら、忘れてね?」
「え?」
「あれ、別に大した意味じゃないから。お前等の仲引き裂こうとか、思ったこともねえから。だからさ、気にすんなよ!!」

先に言いたかった事を言われて拍子抜けする。
何?だって、溜め息吐いてなかった?
アタシが、自意識過剰……?!

「あ、もしかしてそれ?」
「お前、遥は本当に俺に……。」
「宮下も、心配しなくて良いから。そんな顔見てたら、誰だって渡したくなるって。あ、コイツなら守ってやれるかなって。友達からちょっと気になってただけだし、良いよ。」
「お前が、それで良いのかよ?」
「うん、別に。」

圭吾が少し困った顔をする。

「喧嘩とか、嫌じゃね?そんなので、嫌いって言われたり、寄り付かなくなったり、逆にお前等が別れるのも、良い気しないんだよ。」
「よく喋るな。」
「いつもだろ。」
「…………そっか。」
「なあ。」

高橋が、こっちを向いた。
何だか、拍子抜けして、ボーっとした顔でそっちを見た。もう、分けわかんないって感じ。

「はは、何だその顔。…………お前は、宮下の何処が好きになったんだよ?」
「へ?」

圭吾が真っ赤になってアタシを見る。
つられてアタシも赤くなった。

「好きなんだろ、お前。」
「う、うん……。」
「何で?」
「優しいところとか、色々……。」
「色々か……。」

高橋がニコッと圭吾に笑いかけた。

「良いな、無条件っぽくて。」
「…………あ、おう。」
「羨ましかったよ、お前が。」
「…………ああ。」
「守れよ!」

高橋が、いつもより明るかった。
その違和感に
どうして気付かなかったんだろう?