「宗助、おはよう。」
今日もいい天気。
「お、おはよう遥。」
光が水に反射してまぶしい。
「今日、理科の時間宗助当たるって。ちゃんとやったの~?」
「え、マジ!?俺やってない~!!」
「……アタシの、見る?」
まだ、素直になれないけれど。ずっとずっと、君が好きだった。
多分これからも、きっとずっとずっと。雨が降っても、晴れて暑くても。
けどね、アタシにも悲しくなる事があるの。君が、居なくなってしまう事――。
「で、ここ分かる奴~、あ、鈴原宗助。答えられるよな?」
さっそく当たってるし!わわ、宗助戸惑ってる……。
黒い髪にメガネ。真面目なスポーツマン。
アタシは全てに惹かれていた。優しいところも、好き。
「う、ういっす!」
“ガターーン!!”
宗助の座っていた椅子が倒れる。凄い音がしてみんな笑った。
「…………。」
顔を赤くする宗助。
クスクス笑ってるクラスメイトをアタシは軽く睨む。
アイコンタクトを取ってもう一度教科書を見つめる。その、真似をした。
「あ、えっと、答えはX=34、y=2です……。」
こういう少し抜けている所も好きだと思った。
みんなは幻滅してるみたいだけどね。
「あ、ありがとう。」
「うん、つか、抜けすぎっ!」
小声でアタシ達はいつも話した。
この時間はいつも気持ちが温かくて、とても楽しかった。
優しい彼の低めの声と、少しアタシより低い座高に可愛さを感じながら。
「好きな奴、居るの?」
「え……?あ、まあ、一応ね。」
少し引きつった笑顔を見せてアタシは俯いた。
「そうなんだ~、ちょっと意外かも。」
「え、なにそれ~??」
この関係を、壊してしまわぬように。