狙うべき標的に、逆に一網打尽にされるとは。

油断した隙を突かれると、東アジア最大の秘密結社も、こうも脆いものか。

アイスピックの血を拭っていると。

「助かる。不甲斐ない連中の処刑の手間が省けた」

背後から声。

振り向こうとするも。

「っっっっっっ!」

亮二の首に鋼線が巻き付き、瞬時に絞め上げてきた! 

鋼線を操るのは、二人の細身の暗殺者だった。

地損星と地平星。

亮二達の直接の抹殺を任務とする暗殺者達と違い、彼ら二人は、任務をしくじった者達の『後始末』を仕事とする。

いわば処刑人。

こうして一本の鋼線の両端を左右から握り締め、首を絞め上げたり鋭さを利用して断頭したりする。

絞首刑か斬首刑かはその時次第。

「絞首刑は糞尿涎を垂れ流す」

「斬首刑は胴体と頭が別れを告げ、血の雨が降り注ぐ」

「「どちらの結末が望みだ?」」

まるで台詞を読み上げるように、亮二に告げる地損星と地平星。