「ひっどいなぁ~あ、七美は。好きだった人にむかって」

「そんなん何十年も前の話でしょ!」



どうして素直に
“ありがとう”って
言えないのかな?



心配かけて、
ごめんね

心配してくれて、
ありがとう



たった一言なのに…


可愛くないことばっかり
言っちゃうのは
何でかなぁ?



「ちっ、近づいてて、私たちが付き合ってると思われたら大変でしょ!?」

「…大変?」

「もしその噂が綾子に広まったら、どうすんのよ!?」


そういった瞬間、大祐はプッと吹き出して、さっきよりもさらに近づいて来た。
なんと調子にのって腕まで組んできた。


「はっはなせ~!」

「おまえ、あいかわらずバカだなぁ」



あんたにゃ言われたくないっての!



「噂は所詮噂だろ?…否定すればOKじゃん」

「…腕組みはそれでもダメでしょが!」


学校から歩いて、気づいたらもういつもの習慣でバス停の前に二人並んで立っていた。


「そういえば七美さぁ、何か部活はいる?」

「…え~?……特に考えてないけど。大祐は?」

「俺はこの頭だもんさ。決まってんだろ?」