「…んだよ、そんなニヤニヤして?」


朝のスクールバスで偶然隣にいたからジッと顔をニヤニヤと見つめてやった。

一応昨日鼻で笑われたお返しだったりして。


「なんかついてっか?…朝オムライス食ってきたから」


と言って、茶色く日焼けした腕で無造作に口元を拭った。

そのたくましい腕が朝の太陽の光に反射して眩しかった。でも私は何も言わずにただ大祐を見つめた。


拭いた腕を見て大祐は口を尖らせた。


「んだよ~ついてねぇじゃんかぁ!」


ニヤニヤ


「だぁっ!なんだよお前はよぉ~!さっさと言ってくれ!」


「…彼女、可愛いねぇ」


「は?んだよ、綾子のこと知ってんのか」

「知ってるも何も…中学ん時の一番の親友ですが、何か?」

「は!?マジかいっ」

「だから残念ながら浮気はできないよー」


大祐が一瞬難しそうな表情をしたのを私は見逃さなかった。
でもその顔はすぐにまた普通の顔に戻ったけど。


「参ったなぁ~あ」

「何が?」

「いやぁ浮気できねぇなって」

「しようとしたんかい!最低!」