先生は、一口食べながら
「…意外だな。お前が料理を作れるなんて
ってっきり塩と砂糖を間違えるぐらいの
料理下手だと思っていたのに」
バッサリと言われてしまった。
ガーン!!
私って先生にとったら
そんなイメージなの!?
いや、確かに…これだけミスをしたのだ。
そう思われても仕方がないけど
でも、一応
手順を踏めば作れる。
多少は時間がかかるけど
「まぁ、それなりには…あの…それで、
お味の方は?」
「……旨い」
やった…先生に美味しいと言ってくれた!!
素直に喜んだ。
睦月君も夢中で食べてくれた。
良かった…。
私も食べようとするのだが、肝心な事を思い出した。
そうだ、私…右手が使えなかったのだったわ!?
火傷をして治療してある手に
箸を持つことは、不可能だった。
どうしよう。
フォークでも借りた方がいいかしら?
するとそんな私に気づいたのか
睦月君が私に食べさせようと
ブリを取った箸を差し出してきた。
えっ!?
「私に…食べさせてくれるの?」
尋ねると睦月君は、コクリと頷いた。
嬉しい。嬉しいけど
小さい子に食べさせて貰うのも
どうかと思ってしまう。
そうしたら先生が
「睦月。コイツは、俺が面倒みてやるから
お前は、ちゃんと全部食べろ」と言ってきた。
えっ……今、何て言ってきたの!?