手の甲を見ると真っ赤になり少し腫れ上がっていた。

痛いし、染みる…。

ハッと見ると睦月君がジッと見ていた。

私は、慌てて手を後ろに隠しながら

「さぁ、さっさと片付けて味噌汁を作らないとね」

フフっと笑って誤魔化した。

気づかれないようにしなくては……。

すると先生がリビングに入ってきた。

「いい匂いがすると思ったら今度は、
何か落ちる音がしたが何をやっているんだ?お前…」

ギクッ!!

「な、何もありませんよ。
今、夕食でブリの煮付けを作っていたんです。
すぐに用意しますね」

手を隠したまま立ち上がった。

「はぁっ?ブリの煮付け?
お前がか…?」

不思議そうに先生は、こちらに来た。

バレないようにしなくちゃあ…。

先生は、煮付けの入っているもう1つの鍋を
見ようと手を伸ばそうとしたら
睦月君が先生の服をツンツンと引っ張った。

「睦月君!?」

「何だ?」

先生が尋ねると普段話さないはずの睦月君が

「お姉ちゃん…お鍋こぼして手を火傷したの。
パパ…助けてあげて」と言ってきた。

睦月君…!?

まさか、私のために助けを求めるとは、
思わなかったから驚いてしまった。

「おい。それは、本当か!?」

先生は、驚きながら
私に詰め寄って尋ねてきた。