「は、はい。確認をさせて頂きます」

慌てて原稿を受け取る。

うわぁ~蓮見先生の原稿を1番で
見られるなんて…感動だ。

プロットとは、大まかな作品のストーリーを書いた
下書きみたいなものだ。

これをもとに修正したりして細かい設定を決めていく。
そして、清書して1つの作品として完成する。

編集者は、プロットを見ながら
意見や今後の展開などを話し合い
決める権利がある重要な役割だ。

つまり、私の意見によって
先生の作品に影響する場合もあり責任が重い。

ガタガタ震える手。

大好きな先生の作品
私が意見を言うものではないと思う。

いや…ってか、プロットだけでも
1番に読ましてもらうのだ。

むしろ感謝するべきでしょ?

「おい。手が震えて顔色が真っ青になっているぞ?
別に力んで読まなくてもいい。
お前が読者目線として素直に思った事を言え」

先生は、そう言ってきた。

「読者目線…ですか?」

「あぁ読むのは、読書好きの一般の読者だ。
お前が素直に面白いと思えばそれでいい。
余計な気遣いは、いらん」

「は、はい。」

先生が、そう言うのなら
深呼吸をしてから1枚ずつ読んでいく。

そうすると書いた本人が居る事を忘れ
読み込んでしまう。

面白い。

プロットなのに引き込まれて行くストーリーに
登場人物。

この続きは、どうなって行くのだろうか?

するとある疑問が生まれてくる。

「この敵である刹那は、どうして
そこまでして主人公を憎むのでしょうか?
いくら主人公が恋人の死に関わっていたとしても
直接関係ないですよね?
憎むならむしろ組織では?」

思わず口から意見が出てしまう。

するとピクッと眉を寄せる先生。

し、しまった…とんでもない失言を
言ってしまった!!

いくら、読者目線でいいと言ってくれても
もっと言葉を選ぶべきだった。