「睦月君?どうしたのかな…?」
ワケが分からずに尋ねてみる。
もしかして、ガッカリされた?
そうしたら後から来た拓馬君に
「睦月。残念だったな?今日は、諦めろ」
そう言って睦月君に話しかけると
睦月君は、無言のままコクリと頷いてしまう。
えっ?
このガッカリ感は、何でだろうか?
また、ため息を吐きながら
園内に入って行く睦月君だった。
「睦月君…?」
すると拓馬君が私に
「おばさん。睦月…帰りに
アイツの父ちゃんとマックに
行きたかったらしいぜ」と教えてくれた。
「えっ?マック?」
マックってあのマック?
先生と一緒に行きたかったの?睦月君。
「今さマックのハッピーセットに
レインボーレンジャーのおもちゃが貰えるんだよ。
アイツ、マックも好きだから楽しみにしていたのに
台無しじゃん。空気読みなよ…おばちゃん」
ため息混じりに言われる。
ガーン!!
ショックを受けたのは、
おばちゃんと言われた方ではない。
睦月君の楽しみを奪ってしまったからだ。
また、とんでもないミスをやらかしてしまった。
睦月君が荷物を持って戻ってくる。
手を繋ぎ帰るが、気まずい雰囲気になってしまった。
せっかく仲良くなれそうなのに…私の馬鹿。
「あの…ごめんね。
睦月君の楽しみを奪ってしまって…許してくれる?」
申し訳ない気持ちで尋ねてみた。
そうするとコクリとこちらを見て頷いてくれた。
駄々をこねないし、聞き分けのいい子だけど
余計に良心が痛んだ。