そうしたら河合先輩は、クスクスと笑った。
「相変わらず正直な意見だな。小野木は…」
そう言われてしまう。
正直な意見……。
また、余計な事を言っちゃったのかしら?
「確かに勿体無いと俺も思うよ。
だけどそれは、先生の作品に対しての強い想いでもあり
息子の睦月君のためでもあるんだ!」
真剣な表情で河合先輩は、話してくれた。
睦月君のため……?
「下手に報道陣が、うろつかれると
プライベートでかなり支障が出るし
睦月君に被害が及ぶからね。
それに、ほら先生って見た目的に
小説家っぽくないでしょ?」
河合先輩の言葉に驚いた。
「確かに…私も最初お会いした時は、
部屋を間違えたのかと思いました」
見た目は、イケメンロッカーという感じだ。
「実は、俺も最初お会いした時に驚いたんだよね。
先生の知っている人は、好意的だからいいだろうけど
世間は、いい風に見ない人も居る。
下手したらゴーストライター居るのではないかとか
疑う人も出てくるだろうからね」
その言葉を聞いた時ハッとした。
確かに。何も知らない人は、
そうやって疑う人も居るかも知れない。
私だって、一般読者の立場なら
最初は、驚くしそんな噂が立てばショックも大きい。
「まぁ、先生の話だと作家に見られないのは、
今始まった事ではないし
言いたい奴に言わしておけばいいと言っていだけど
先生が一番気にかけるのは、
それをよく思わない人達の陰口で
睦月君が傷つくことだ」
私は、何も言えなくなってしまう。
先生は、睦月君の事を想って
表に出てこないのだと知った。
それは、先生の睦月君に対する
愛情だと知り返す言葉も出来なかった。
ファンとして、もっと前に出てきて
欲しいと思う反面
このまま出ない方があの親子のために
なるのではないかとも思ってしまう。
難しい選択だ。